「フェムケア」って聞くと、どんなイメージがありますか。
おしゃれなデリケートゾーン用のソープとか、オーガニックコットンのナプキンとか。最近はSNSでもよく見かけますよね。
もちろん、それも大切なフェムケアのひとつです。でも、私がこの言葉に込めている意味は、もう少し違うところにあります。
◇ ◇ ◇
私は20年以上、自分の身体を「敵」だと思って生きてきました。
思うように動かない。痛みが取れない。生理のたびに悪化する。「どうして私の身体はこうなの」と、何度も恨みました。
建設現場で働いていた20代の頃は、身体の声を聞くこと自体を封印していました。生理がつらくても、体調が悪くても、「大丈夫です」「やれます」と言い続けた。女であることを棚上げにして、男性と同じ土俵で勝負しなきゃいけないと思い込んでいたから。
つまり、私は自分の身体と、ずっとケンカしていたんです。
◇ ◇ ◇
転機は、子宮を失ったあとに来ました。
手術から回復していく過程で、ハーブやアロマ、温熱療法──それまで「治すための手段」としてしか見ていなかったものを、初めて「自分をいたわるための時間」として使うようになったんです。
温かいハーブティーをゆっくり淹れて、香りを味わいながら飲む。お腹にそっと手を当てて、「お疲れさま」って声をかける。
それだけのことなのに、涙が出ました。
「ああ、私、自分の身体にこんなふうに優しくしたこと、なかったな」って。
「自分を好きになろう」って、頭で考えてもなかなか難しいですよね。それは、思考の部分が、過去の記憶や「こうあるべき」という理屈であなたを縛っているから。
でも、身体はもっと正直です。
肌に触れる温かさ、心地よい香り、自分の手のひらの優しさ──そういう「体感」は、理屈を通り越して、心の深いところに直接届くんです。「大切にされている」という感覚が、指先から伝わったとき、頭がどう考えているかに関係なく、「ああ、私はこのままでいいんだ」という安心感が芽生える。
◇ ◇ ◇
私のところに相談に来てくれる女性たちも、フェムケアを始めると、最初は表情が変わります。
最初はね、みんな「こんなことしていいんですか」って恐る恐るなんです。自分のために時間を使うこと、自分の身体を丁寧に扱うことに、罪悪感がある。
でも、続けていくうちに、顔色が変わる。声のトーンが変わる。そして気がつくと、人生の選択まで変わっていく。
「仕事を変えました」「パートナーにちゃんと気持ちを伝えられるようになりました」「自分で決められるようになりました」って。
身体を大切にすることが、生き方を変えていく。私はそれを何度も目の前で見てきました。
◇ ◇ ◇
フェムケアの本質は、商品でもメソッドでもありません。
自分の身体と「仲直り」すること。長い間ケンカしてきた身体に、「今までごめんね、ありがとう」と伝えること。
今日、お風呂に入ったとき、自分の肌にそっと触れてみてください。「ここまで一緒に頑張ってくれて、ありがとう」って。
たった5分でいい。その時間が、あなたとあなたの身体の信頼関係を、少しずつ取り戻してくれます。