朝、鏡を見て、シワやシミを見つけてため息をつく。
「またひとつ増えた」「この顔で人前に出るの、ちょっとしんどいな」って思う瞬間。
正直に言うと、私にもあります。47歳。20代の肌には戻れない。それは事実です。
でもね、最近ちょっと違う見方ができるようになったんです。
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人間の脳は、危険なものや不完全なものに敏感に反応するようにできているそうです。生き残るための本能として。
だから鏡を見たとき、美しいところより先に「衰え」を見つけてしまうのは、あなたの心が卑屈なんじゃなく、脳の自然な反応。
でも、その反応に従い続ける必要はないと思うんです。
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私が子宮を失ったあと、しばらく鏡を見るのが怖かった時期がありました。
手術の傷跡。ホルモンバランスの変化で荒れた肌。痩せたり太ったりを繰り返した身体。
「この身体は、もう女性じゃないのかもしれない」──そんなことまで思いました。
でもある日、入院中にお世話になった看護師さんに言われたんです。「山元さんの目、すごくきれいですね。いろんなことを乗り越えてきた人の目ってわかるんですよ」って。
そのとき初めて、気づいたんです。
シワは、たくさん笑ってきた証拠。涙の跡は、誰かを想って心を動かしてきた証拠。手の荒れは、家族のために働いてきた勲章。
「衰え」だと思っていたものが、実は「生きてきた証」だったんだ、って。
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それ以来、鏡を見るときの習慣を変えました。
「足りないもの」を探すんじゃなくて、「この顔で、ここまで来たんだな」って、まず自分をねぎらう。
不思議なもので、自分を「衰えた」と見るか「深みが増した」と見るかで、本当に表情が変わるんです。内側から出てくる輝きって、お化粧では作れないもので、自分への眼差しが変わった瞬間に生まれるんだと思います。
私が長期入院していたとき、窓から金木犀の香りが流れ込んできたことがありました。真夏に入院して、季節がわからなくなっていた私に、時の流れをそっと教えてくれた。
「ああ、ちゃんと前に進んでいるんだ」って思えた。
あなたの身体も、ちゃんと前に進んでいます。その一日一日の積み重ねが、今のあなたの美しさです。
今日、鏡を見たら、試しにこう声をかけてみてください。
「これまでありがとう。これからもよろしくね」
そのときの表情が、きっと一番きれいですよ。